眼鏡レンズの種類ってどこが違うの?徹底解説します!
眼鏡屋さんで眼鏡を購入する時、まずは眼鏡フレームを選びますよね。
眼鏡フレーム選びにはかなり時間を掛けて自分に似合うフレームを探していると思います。
ところが、レンズに関してはフレームほど時間を掛けて選ばずに店員さん任せになっているところはありませんか?買ったはいいけれど何だか高いレンズになってしまったと納得していない人の声も聞きます。確かにレンズの値段は安い物から高い物までかなりの差がありますが、一体どこが違うのか気になりませんか?
そこで今回の記事では、眼鏡のレンズの種類について詳しくお伝えします。
最後まで読めば、眼鏡のレンズについてよく分かり、アナタにとって納得の行く最適なレンズが見つかります。
どうぞ最後までご覧下さい!
眼鏡のレンズの素材は2種類
眼鏡のレンズの素材は「プラスチック」と「ガラス」の2種類あります。30年程前にはガラスレンズの方が多く使われていましたが、現在は眼鏡レンズの約95%がプラスチック素材が使われており、圧倒的にプラスチックレンズの人気が高いです。
ではそれぞれの特徴をお伝えします。
プラスチックレンズ
プラスチックレンズの良い点は、何と言っても「軽さ」と「割れにくさ」です。
眼鏡は視力を補うために1日中掛けていますから軽い方が断然快適です。
また、掛けたり外したりして落とす事もありますが、プラスチックレンズなら割れにくいですのでうっかり割ってしまうという事がとても少ないのはメリットです。
また、これから説明していきます非球面レンズやレンズコートの加工、カラーレンズの染色をしやすいなど、加工がとてもしやすいという自由度があります。
ガラスレンズ
ガラスレンズの良い点は、「屈折率の高いレンズを作れる」点です。
視力がかなり悪い人にとってはガラスレンズの方が薄いレンズを作る事が可能ですのでオススメです。
また、プラスチックレンズよりも熱や傷に強く丈夫です。そのため、プラスチックレンズよりも長持ちします。
割れやすいという欠点はありますが、お手入れはプラスチックレンズよりも楽なのでガラスレンズやなきゃダメ!という長年の根強いファンの方もいます。
眼鏡のレンズの種類は2種類
眼鏡のレンズの種類は、焦点を1カ所にするか、多焦点にするかで「単焦点レンズ」「累進レンズ」の2種類に分けられます。
では、それぞれを説明していきます。
単焦点レンズ
視力が落ちてきた時に最初に作るのがこの単焦点レンズです。
ごく一般的に使われているレンズで、1枚のレンズでひとつの屈折補正をしてくれます。
近視、遠視、乱視、手元専用と焦点を合わせられる場所はひとつになります。
一般的に40代くらいまでの近視の方ですと遠距離に焦点を合わせた近視用の眼鏡で用が足ります。
しかし、50代くらいになると近くも遠くも両方見えづらいという老化現象がおき、単焦点では事が足りなくなってきます。
累進レンズ
40代後半から50代くらいになると単焦点だけでは用が足りなくなるケースが増えてきます。
そこで必要になってくるのが多焦点用の累進レンズです。
1枚のレンズで眼鏡を掛け替えることなく近くと遠くを見る事が出来るレンズです。
「遠近両用眼鏡」と呼ばれているのがもっともスタンダードな多焦点眼鏡です。
多焦点レンズには、遠近両用レンズ、中近レンズ、近々レンズ、二重焦点レンズ、トライフォーカルレンズがあります。
ではそれぞれ説明していきます。
遠近両用レンズ
近くから遠くまでよく見えるので日常生活に必須の眼鏡です。
多焦点レンズの多くは遠近両用眼鏡です。遠くは良く見え、手元は範囲は狭いですが見る事が出来ます。
中近レンズ
中距離(手元から3~5m)の物がよく見えます。
遠方は見えませんので、室内のデスクワークや家事の時に便利な眼鏡です。
近々レンズ
近距離(手元から50~60cm)の物がよく見えます。「パソコン用眼鏡」とも言われているのが、この近々レンズです。
事務作業でパソコンを使用する時にオススメします。歩く時に掛けると危険ですので外すようにしましょう。
上記3つが主な累進レンズですが、次の2つもありますので参考までにお伝えします。
二重焦点レンズ(バイフォーカルレンズ)
30年ほど前には、マルチローカルレンズとして遠近両用として重宝されていました。
レンズ全体が遠距離用ですが、レンズの下の部分に「小玉」と呼ばれる近距離用のレンズがついています。
現在の遠近両用眼鏡は境目がないので見た目がきれいですが、二重焦点レンズはハッキリと境目が見えますので見た目は余り格好は良くありません。
しかし、遠近両用眼鏡よりも遠くと近くをハッキリ見たい人、遠近両用眼鏡の歪みに慣れない人にはオススメです。
画像引用:https://www.lensya.com/progressive/goods/bf/index1.html
トライフォーカルレンズ
遠方、中間、近方の3つを見る事が出来ます。
こちらも境目がハッキリと分かるので見た目は良くありません。
現在は余り使われていないレンズです。
眼鏡の設計の仕方は2種類
レンズの設計の仕方によって、「球面レンズ」と「非球面レンズ」があります。
元々からあったのが球面レンズです。球面レンズの弱点を改良したものが非球面レンズです。
ではそれぞれについて説明します。
球面レンズ
レンズ面が「球」の一部分から成っていることから「球面レンズ」と呼ばれています。
球の形をしているため、レンズのカーブが大きくなり、厚くなるために見え方に「歪み」が生じてしまうのが欠点でした。
また、視力が悪い人ほどレンズの厚みが出てしまうので、フチなしのツーポイントタイプの眼鏡ですと横から見たらものすごい厚みになり、おしゃれ感に欠けていました。
非球面レンズ
レンズ面が球の形ではなくて、「楕円」「双曲」「放物」など二次的な曲線から成っているのが「非球面レンズ」です。
球ではないので少し平らでカーブを小さくする事が出来ます。
ですから球面レンズの一番の問題点だった「歪み」が解消されます。
さらにレンズの厚さを薄く、軽くする事も出来るようになりました。視力の悪い人にとってはとても嬉しい事ですね。
なお、非球面レンズは表と裏のどちらか片方を非球面にする事が出来、表側が非球面タイプを「外面非球面レンズ」、裏側が非球面タイプを「内面非球面レンズ」と呼びます。
両面非球面レンズ
非球面レンズを更に進化させて両面を非球面にし、一段と歪みを減らしてクリアな視界を実現したのが「両面非球面レンズ」です。
度数の強い人や乱視の人には特にオススメです。視界が広くなります。
ここで3つのレンズの視界のクリアな領域を比較してみましょう。
視界のクリアな領域 | |
球面レンズ | 31% |
非球面レンズ | 64% |
両面非球面レンズ | 77% |
球面レンズと両面非球面レンズでは、クリアに見える領域ば約2.5倍も違います。
度数の強い人ですと、見え方のスッキリ度合いが、かなり違うと言えますね!
カラーレンズについて
眼鏡レンズにカラーレンズを使っている人も多いです。ファッションとして取り入れるのは素敵ですね。
アナタの肌の色に合わせたり、逆に肌の赤みや黄ばみを隠したり。カラーレンズはイメージチェンジ効果があります。
また、カラーレンズはファッションだけではなく、光のまぶしさを和らげるなどの効果があり、目が疲れにくくなります。
UVカットがあるカラーレンズも多いですので、日焼けや紫外線を防ぐ事も出来ます。
カラーレンズの色は、ブラウン、グレー、グリーン、ブルー、イエロー、ピンクなどがあります。色によって効果は違います。
色系 | 効果 |
ブラウン系 | 青色系の光を遮断して視界をクリアにします |
グレー系 | 光のまぶしさを和らげます |
グリーン系 | 青色系と赤色系の光を遮断して目の疲れを和らげます |
ブルー系 | 強い日差しを和らげてくれます |
イエロー系 | 景色を見た時にコントラストが良く分かります |
ピンク系 | 明るくかわいらしいイメージを与えます |
カラーレンズは濃度がいろいろありますが、濃度10%ですとほとんど色が分からないですので仕事上で使っても問題ないです。
濃度が高いものは視界が不十分になりますので、夜の車の運転には使用しないように注意しましょう。
機能性レンズ
カラーレンズの中には機能性レンズがあります。もっと快適な視界でご覧になりたい方のためにあるレンズです。
調光レンズ
室内では通常のレンズと同じく透明ですが、屋外など太陽の光のある所ではレンズの色が濃くなるレンズです。
光の強さによってレンズの色合いが濃くなったり薄くなったり自動的に調節されます。光から目を守ってくれます。
ただし、屋外から屋内に戻っても色が変わるまで時間が掛かる点が欠点です。
偏光レンズ
乱反射をカットしてくれるレンズです。
水面の反射はギラギラしていますが、そのような反射光を防いでくれます。日差しの強い時の目の疲れを和らげてくれます。
レンズコーティング加工について
眼鏡レンズはそのまま使用すると傷や汚れが付きやすかったり、目に刺激が強すぎたりと色々問題点があります。
そんな問題点を解消するために様々なレンズコーティング加工を施す事が出来ます。
最初から組み込んである加工もありますが、オプションとしてつけてより快適なレンズにする事が出来ます。
では、どのようなレンズコーティング加工があるかお伝えしていきます。
レンズコーティングの種類
1.反射防止系コート
マルチコートと呼ばれていて、レンズの表面に金属質の膜をコーティングすることによって光の反射を防ぎます。
そうすることによって見えやすく自然な視野となります。
一般的には最初からコーティングされている事が多いです。
2.紫外線防止系コート
UVカットと呼ばれていて、紫外線をカットする目的でコーティングされています。
紫外線にはUVA、UVB、UVCとあり、白内障や角膜炎になるリスクがありますから予防のために必要です。
一般的には最初からコーティングされている事が多いです。
3.キズ防止系コート
プラスチックレンズの欠点として傷が付きやすいという事があります。傷がつきにくくするコーティングです。
一般的には最初からコーティングされている事が多いです。
4.ブルーライトカットコート
パソコンやスマホのディスプレイから発せられるブルーライトの影響で目が疲れやすくなるのを軽減するためのコーティングです。パソコン作業やスマホを多く使う人にはオススメです。特にパソコン用の眼鏡として購入する場合はつけると良いでしょう。
5.耐衝撃系コート
レンズを割れにくくするコーティングです。プラスチックレンズでも衝撃が加われば割れる事がありますのでコーティングをしておいた方が安心です。
特に激しいスポーツをされる人にはオススメです。
6.汚れ防止系コート
レンズの表面に付いた水や油をはじいてくれるコーティングです。
また、レンズの表面を拭く時にホコリがついたまま拭くとレンズの表面に傷を付けてしまうことがありますが、コーティングしておくと防止する事が出来ます。
7.静電気防止系コート
プラスチックレンズの欠点として静電気がたまりやすいという事があります。静電気によってレンズにほこりがたまりがちになります。
静電気を防止するためのコーティングです。
8.曇り防止系コート
寒暖差のあるところに行ったりマスクをすると眼鏡はくもりますが、眼鏡のくもりを防止するコーティングです。
ラーメン屋さんで眼鏡がくもって困った!という人にも良いコーティングですね。
眼鏡レンズの取り扱い注意点
レンズコーティングをすると、さまざまな良い効果がある事が分かりましたが、一度レンズコーティングすると半永久的かというとそうではありません。
レンズコーティングの寿命は約1年半から2年ほどです。
高品質の物ですと3年から4年ほどもちますが、丁寧に取り扱わないと、どんなに良い品質の物でも1年くらいで剥がれてしまう事があります。
コーティングはとても薄くて、0.001mm以下のコーティングを何枚も何枚も重ね塗りしている非常に繊細な物です。
料理で使うラップも薄いですが、ラップの10分の1から1,000分の1の厚さだと言いますからとても薄いですよね。
そこで、そんな繊細なレンズコーティングが剥がれないようにするための注意点をお伝えします。注意して少しでも長持ちさせたいですね。
温度に注意!
レンズは60度を超えるとレンズのひび割れを起こします。
プラスチックレンズは、急激な温度変化によって破裂する事もありますので十分注意しましょう。
温泉に入る時に眼鏡を掛けたまま入って温泉のお湯で眼鏡を洗ったりするのはNGです。
とは言え、見えないのは不安だと思いますので、古くなった眼鏡をお風呂専用にしましょう。普段掛けている眼鏡を掛けたまま温泉に入る事はやめましょう。
また、夏に車の中に眼鏡を置きっぱなしにするのも眼鏡にとってNGです。
車内は夏場はかなりの高温になります。サングラスを車の中に置きっぱなしにする事のないように注意が必要です。
眼鏡の洗い方に注意!
眼鏡を洗う時、ぬるま湯で洗ったり、洗剤で洗っていませんか?
眼鏡レンズは熱にも酸にも弱いです。
洗う時には「水」で「中性洗剤」で洗うようにしましょう。
眼鏡の拭き方に注意!
眼鏡レンズを拭く時にから拭きしていいませんか?
ホコリがついた状態で乾いたまま拭くと、コーティングの剥がれる原因になります。
ですから、必ず水洗いしてから優しく拭きましょう。
眼鏡屋さんで売っている眼鏡クリーナーで拭くのはオススメです。
水滴に注意!
雨降りの時に眼鏡が塗れてしまったけど、そのうち乾くからとそのままにしていませんか?
水滴を付けっぱなしにしているのはNGです。コーティングの寿命を縮める事になりますので、すぐに拭き取るようにしましょう。
ここまで眼鏡のレンズの種類についてお伝えしてきましたがいかがでしたか?
今回の記事では次の事をお伝えしました。
1.眼鏡レンズの素材はプラスチックレンズとガラスレンズの2種類あり、プラスチックレンズが主流である
2.眼鏡レンズの種類は焦点の合わせ方により単焦点レンズと累進レンズがある
3.累進レンズには遠近両用・中近・近々・二重焦点・トライフォーカルレンズがある
4.眼鏡の設計の仕方は球面レンズと非球面レンズがあり、さらに進化した両面非球面レンズがある
5.カラーレンズにはさまざまな効果があり、機能性レンズもある
6.レンズや目を守るため、さまざまなレンズコーティング加工がある
7.眼鏡レンズは熱と酸に弱いので取り扱いに注意して長持ちするように心掛ける
このように眼鏡レンズと一口で言っても、簡単な物から非常に高度な技術を要する物までさまざまあります。お一人お一人の目の状態に合わせて多角的に調整して作られる精巧な医療器具です。
ですから、レンズの値段の違いはアナタの目の状態と、どの部分まで快適にするかの希望で変わってきます。
アナタの目を守るために、最適のレンズを選んで快適な眼鏡ライフをされますように願っています。